プロセスワークとは
臨床的プロセスワークとは(1)
プロセスワークには、人格理論、発達理論、異常心理理論、精神病理理論がありません。
多くの心理療法/精神療法は、独自の人格論、発達論に基づき作られています。そうした心理療法からすると、人格,発達、精神病理についての理論がないことは、たとえて言うと心理療法に背骨がないことであり、理解できないことかも知れません。
プロセスワークは、多次元的心理療法であり、多面性、多様性尊重するワークです。こうした態度を「ディープデモクラシー」(深層民主主義、多次元民主主義)と言います。
その考えからすると、一つの人格論、発達論から人間を理解すること、病理を見立て/診断することはできない、というのがプロセスワークの立場です。
しかしこれは、人格,発達、異常心理学を否定するものではありません。そうではなく、ディープデモクラシーを実践するために、多くの理論を学ぶことを推奨しているのです。
ひとり一人個性の違うクライエントにあったカスタマーメイドの心理療法を行なうには、多様な理論を理解しておくことが重要です。
臨床的プロセスワークが参照している理論の一部は以下の通りです。それらを参考にしながら、病態水準/健康次元の見立てを行なっています。
(例の一部)
クラインやビオンの対象関係論、
コフートや間主観的アプローチの理論、
マーラーやマスターソンの理論、
P.フェダーン、サールズらの統合失調症理論、
カーンバーグの理論、
オグデンの理論、
ウイニコットの理論、
エリクソンのライフサイク理論
古典的ユング派の自我ー自己軸理論、
発達派ユンギアンの理論、
K.ウイルバーのトランスパーソナル理論、
M.ウオッシュバーンのトランスバーソナル理論、
グロフらのスピリチュアル・エマジェンシー理論
しかし以上の各理論を学んでも、目の前のクライエントを真にに理解することはできません。
人間は、どんな理論をも超えた独自性と多様性を秘めた存在だからです。
実際のカウンセリングの場面では、学んだ上記の理論を一旦脇に置いて、目の前のクライエントに心を開き、向き合い、クライエントの独自性、多様性、心理面接の一回性を大事にしなければなりません。
心理療法を行なうには各理論を学ぶこともさることながら、理論にとらわれない目の前のクライエント、その場での出会いに細やかに対応できる心理臨床的センスが何よりも大切です。
理論を専門家が学ぶ上でのマイナス面は、それによってクライエントをコントロール(支配/操作)しようとする欲求に抗い難い点です。
しかし、複雑で多様なクライエントの心、心理面接場面でプロセスととり組むには何らかの地図(理論)が必要です。
クライエントを既存の心理学理論に当てはめる(還元する)ことなく、彼、彼女のプロセスの多様性をサポートするために、多様な理論を学ぶことを「臨床的プロセスワーク」は推奨しています。
しかし、神話、昔話、伝説、小説を読むこと、映画を見ること、メタファー、象徴、アートに触れることは、ユングが言ったように、複雑で多様な私たちの心に近づく上で、心理療法論を学ぶ以上に大切です。
※ご参加に際しては、『トレーニングにあたって』を一度ご覧ください。




