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臨床的プロセスワークとは(6)

 

プロセスワークが独自の発達論、人格論、異常心理学理論を保持しておらず、一方で「臨床的プロセスワーク」が多様な心理学理論を肯定している理由を、ここで改めて書きましょう。

 

(A)心理学各派の発達論、人格論は全て「自我」を実体視したところから産み出されています。

これに対して老荘思想や仏教全般は、自我を「流れ、無常のある時点におけるある状態に過ぎない」、また、大乗仏教は自我を「縁」すなわち「自我を関係におけるあるポイントにすぎない」と捉えていました。

(こうした老荘や仏教の自我論は、神秘主義的修行をせずとも、合理的に考えれば、妥当であることが理解できます。)

プロセスワークは「自我」を実体視、物象化、固定化、絶対視するのではなく、代わりに相対的概念である一次プロセス、二次プロセスを持ち込みました。

老荘や仏教が迷妄、幻想と捉える自我を固定的に捉え、それを基盤にした心理学的発達論、人格論、精神病理論を確立することにミンデルが関心を抱かなかったのが、一つ目の理由です。

 

(B)二点目はポストモダンの潮流と同じなのですが(注.ミンデルはポストモダン論に興味を示したことはありませんが)、ミンデルが「自我ー自己」軸を中心とした古典的ユング派の「大きな物語」を絶対視することに、関心や信念を持てなくなったためです。

(これはミンデルが元々物理学者で、「相対性理論」以後の物理学を学んでいたこととも関連しています)

同様の理由で、ミンデルはユングの「タイプ論」からも離れて行きました。

代わりに、「チャンネル論」を携えて、個人のプロセス、個人のユニークさ、面接の一回性をサポートするようになりました。

ミンデルはユングの「自我ー自己軸」論やフロイトの「エディプス・トライアングル」論といった「大きな物語」に関心を示すことはありませんでした。

そうした理論や原因にクライエントのプロセスを還元することに興味がないのです。

プロセスワークは、発達論、人格論に原因を求めることなく、目の前に布置されたプロセスと、非可逆的に(現代物理学)、実験的に(古典物理学)現象学的に(哲学)、体験的に(experiential,empirical、心理学)とり組みます。

因果論に頼らずに問題と向き合い、とり組んでいけると言った方が良いでしょうか。

しかしこれは「物語」全てを否定しているわけではありません。セラピストが予め絶対視しているある人格論、発達論、精神病理論に、クライエントや彼、彼女のプロセスを還元すること(これを「大きな物語」と言います)に関心を抱かないのです。

クライエントのプロセスは多種多様です。それらは一つの発達論、人格論では収まりきれません。

「臨床的プロセスワーク」は各心理学理論を「大きな物語」から解放させ、「多様な物語の一つ」、「小さな物語」と捉え返します。

そして、各個人のユニークなプロセスの受け皿として、各派の/多様な心理学理論を肯定し学ぶことを推奨しているのです。

 

 
※ご参加に際しては、『トレーニングにあたって』を一度ご覧ください。

 

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