心理療法、カウンセリング、セラピー、コーチング、ファシリテーションのトレーニングにあたって
心理臨床、カウンセリング、セラピー、コーチング、ファシリテーションの、真の力量を身につけるには、「量」と「質」との両方を意識したトレーニングを行なわなければなりません。
まず、「量」についてですが、ある一定以上のケース(事例/症例)を行なうことが必須です。
最近、勝間和代さんが訳された『天才』という本によれば、いわゆる生れながらの天才などいなくて、環境や、トレーニング時間数の重要さが強調されていました。それによると、分野に関係なく、専門家としてやっていくには「10,000時間」のトレーニングを地道に積み重ねないといけないということです。
これは筆者の経験からも,とても妥当な時間数だと思います。
10,000時間という「量」より、「質」が大切だという意見もありますが、プロフェッショナルな心理臨床家、カウンセラー、セラピスト、コーチ、ファシリテーターになるためには、また、専門家として自信を持ってやっていくには「量」も絶対に必要です。
10,000時間のトレーニングを心がけて下さい。
10,000時間は、ケース(事例・症例)の時間数です。例えば、開業でやっていくには開業前に10,000のケース(1ケース1時間として)をこなしておくといいでしょう。
しかし、スクールカウンセラーとして一人前になるには、学校のカウンセリングルームでカウンセリングを行なっている時間だけでなく、教師と連携をとる時間、教員と連携して教室で発達障害の子どもを支える時間なども、10,000時間に加えていいと思います。なぜならば、スクールカウンセリングとは、学校の相談室内でのカウンセリングだけでなく、教師や親、医療機関、児童相談所、教育相談所などとの連携や、教室内での子どものサポートを含むからです。
ですので、自分がどの領域/分野における専門家になりたいかで、時間の数え方を調整して下さい。
10,000時間の内訳について,個人療法を例に考えてみましょう。
1日に5ケース、1週間に5日間で25ケースになります。1ケースを1時間で計算すると、一週間で25時間になります。
アメリカやイギリスでは開業しているプロフェショナルな心理療法家は、1週間に30ケースはこなしていますから25ケースでは少しすくないのですが、週に25ケースであれば約10年で10,000時間のケース体験を積み重ねることができます。
筆者はアメリカで心理臨床の基礎を学びました。初心者の時期にケースを担当したくて、学んだ研修期間以外に、ホスピス、電話でのカウンセリング、発達障害の子どもたちの勉強のサポート、精神科でのデイケア、各種セミナーの手伝いなどをボランティアで行ないました。
工夫をすればケースを担当できる機会は以前にも増してあると思いますので、参考にして下さい。
しかし、「量」をこなせば良い専門家になれるかと問われれば答えは「ノー」です。が、10,000時間程度のケースを経験しないと、本人が心理療法家やコーチに向いているかどうかは、本当にはわからないのではないでしょうか?
一見、心理療法家に向いていそうになかった人が、ケースを数多く経験するうちに、その人ならならではの良質なカウンセリングを行なうようになられた例を拝見する度にそう思います。
最後に、トレーニングの「質」の面として、多様なケース・スーパビジョンや訓練(教育)分析の必要性などについても別の覧に書いていますので、そちらも参考にして下さい。




