トレーニングにあたって(5)
(A)
プロセスワークは「タオ(TAO)=道」に従っていくことを最も重視しています。プロセスワーカーは道を極めることを目標にします。道を極めるとは「極道(笑)」を意味しますね。
私たちプロセスワーカーは極道であろうとします。
それはプロセスワークのトレーニングの背景にもあるメタスキル/空気/雰囲気ではないでしょうか?
プロセスワークのトレーニングに参加している学生や学生候補生の方々はとても真剣です。それが各プロセスワーク・セミナーの雰囲気を大変良質なものにしています。
諸外国では、プロセスワークのディプロマは「運転免許証」や「初心者マーク」のように、プロセスワークの専門家としての最低限の能力を保証したもの、と割り切って捉えられる傾向にあります。
しかし、日本では、ディプロマは「免許皆伝」や「一人前のプロセスワーカーとしての証し」と捉えられがちなのではないでしょうか?
これはプロセスワークが、武道、カスタネダ&ドンファンの道、タオイズム、仏教などを参照していることや、武道や芸道といった日本の文化的伝統に、トレーニングを道、修行、修養、人格の陶冶などと捉える/翻訳するところがあるからではないでしょうか?
これにはプラス面もマイナス面もあります。その点を意識してトレーニングを行なって下さい。
道を極めたい方もいらっしゃれば、資格と割り切って取得を第一目的とされる方もいらっしゃるでしょう。
さて、プロセスワーク・セミナーは「タオ=道」のための場所、道を極めるための練習場。それは正に「道場」です。
他のどの武道や芸道とも同じように道を極めつくすことはできません。道には終わりはありません。それは自己実現や個性化のプロセスと同じです。
プロセスワーカーは終わりなき極道への過程を日々歩んでいるのです。それは自己鍛錬の道です。
習いごと、稽古ごと、趣味の世界、修行ですね。
しかし、自己愛的プロセスではありません。その理由を以下に書きます。
(B)
次に「名人性」について考えてみましょう。
プロセスワークや心理療法を行なうには、あなたはあなたの主観+主観を超えたメタ主観(=ドリーミング、それはメタ主観、つまり主観を超えているので「客観」と考えるプロセスワーカーもいます)を使わなければなりません。
クライエントの困難な問題、悩みと取り組むにあなたはあなたの自我主観と自我主観を超えたメタ主観とを、つまり心全体の働きを尊ぶ必要があるのです。いや、心理療法の過程で、あなたは心の全体に開かれることをクライエント(の問題や悩み)に「強要」されるといった方がいいかも知れません。そうでなければ相談者の心的テーマに真に向き合い、彼、彼女の役に立つことはできません。
ところで、クライエントの問題や悩みととり組むことで、結果的にあなたの心の全体が鍛えられ陶冶されて行きます。
あなたがクライエントとの関係にオープンにならなければ、またクライエントとの関係を通じて、あなたがあなたの心全体に開かれなければ、プロセスワーカーとしてのあなたの極道の過程は、道半ばで挫折することになるでしょう。相談者に有益なプロセスワークを行なうことはできなくなります。
自己鍛錬にはクライエントとの関係に開かれ、そこで鍛えられ陶冶されることが必須なのです。
あなたは、「平均的、標準的」セラピストで良いと考えるかも知れません。しかし、主観とドリーミングとを用いるプロセスワークは、平均的、マニュアル的セラピーはあり得ないと考えます。
あなたの主観、メタ主観、心の全体は平均化も標準化もできないからです。
あなたが心とドリーミングの働きを尊重する誠実なプロセスワーカーであれば、十年、二十年と(1万ケース、2万ケースと)臨床を積み重ねていく内に、あなたはあなたなりの名人になるでしょう/ならざるを得ないでしょう。名人という言葉に不快感、違和感があれば「個性的」と言いかえてもいいでしょう。
極道の過程には終りはありません。終着点が無いのですから、無理せず力まずあなたの極道を歩んでいって下さい。




